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2023/07/01 11:35
愛犬の健康な毛皮を維持するためにも、シャンプー選びは重要です。
犬種によって毛質の違いもあるので、どれを選んだらいいのか迷ってしまい難しく感じている飼い主さんもいるのではないでしょうか。一般向けに出ているシャンプーもあれば、業務用のシャンプーもあり洗ったあとの仕上がりも変わります。
シャンプーで使われている成分も含め確認しておきたいところです。この記事では、犬のシャンプーの選び方について詳しく解説します。愛犬の皮膚が敏感な人や、毛皮の特性の違いも意識しつつシャンプーを選びましょう。
犬の皮膚と毛皮の特性
シャンプーを選ぶ前に、犬の皮膚と毛皮の特性を理解することが重要です。
犬の皮膚のpHバランスや毛皮の種類によって、適切なシャンプーの選択肢が異なります。それぞれ犬の特性について詳しく説明し、理解を深めていきましょう。
・犬の皮膚のpHバランス
犬の皮膚は、pH7.2~9の弱アルカリ性をしています。
弱アルカリ性になると、細菌などの病原体が繁殖しやすい環境になるため、皮膚トラブルを起こしやすいといわれています。人間と同じように表皮・真皮・皮下組織の三層構造ではありますが、表皮の厚みがなく薄くデリケートなのが特徴です。
一見、丈夫そうに見えるのですが、人間の皮膚以上に刺激に弱く繊細なのが犬の皮膚でもあるのです。そのため、人間向けのシャンプーは犬には合いません。犬専用のシャンプーで適切なお手入れをしてあげることが大切です。
・犬の毛皮による種類の違い
犬にも短毛種や長毛種など毛の長さや量も違います。
シングルコートの犬は、毛の密度がそこまで多くないのでふんわりと仕上がり優しく洗えるシャンプーで洗います。ダブルコートの犬は毛の密度があるので、汚れがしっかりと落とせること、乾きやすく毛が立つシャンプー選びをしましょう。
また、子犬や老犬など皮膚が繊細なので洗浄力が強いシャンプーはおすすめしません。短時間で洗えてストレスにならないように、泡立ちの良さや泡切れがよくシャワーをかける時間が短いものを選びましょう。
・犬の汗腺は人間と逆
犬は、夏の暑い時期でも人間のような大量の汗はかきません。
全身に分布しているのがアポクリン汗腺になり、沢山の汗を出すエクリン汗腺は、肉球などの限られた場所にしかありません。人間はエクリン汗腺が全身にあるので、水のような汗をかきます。
犬をシャンプーしても、なんとなく臭いが消えないと感じているかもしれません。これは犬が汗をかきにくいことから、臭いが残りやすいと言われています。犬の毛皮の臭いが気になるときは、香り付きのシャンプーや消臭効果の高いシャンプーを選ぶようにしてください。
シャンプーの成分と安全性
犬の繊細な毛皮を洗うシャンプーは、成分にとことんこだわるようにしましょう。
実は、犬用のシャンプーには、人間のシャンプーのように全部の成分表示する義務はありません。表示が省略化されているものも多いので、注意して選ばなくてはいけません。
犬にとって害になる成分や添加物を避けること、安全性の高い自然派のシャンプーを選ぶことが大切です。犬用のシャンプーで避けるべき成分や有害物質について解説します。
・犬のシャンプーに入っている有害成分
犬のシャンプーを選ぶ時に、添加物を気にしている飼い主さんは多いと思います。
添加物にも種類がありますので、注意するべき成分について解説します。
・着色料
シャンプーのなかに、色や見た目を重視するための「着色料」が入っているものもあります。
人工染料や着色料のなかには、安価な染料になると重金属塩が含まれているものもあります。皮膚の刺激になり炎症を起こしてしまう可能性が考えられます。かゆみやアレルギー反応の原因となりますので、避けるのが無難です。
・香料
犬のシャンプーのなかに入っている香料で、香り付けだけを目的にしているものはおすすめしません。
天然のハーブや精油などの自然の香りのものを選ぶほうが安心です。香りがほんのりと残る程度であれば、そこまで心配することもありません。
シャンプーのなかには「香料」「天然香料」などの言葉で何を使っているのかわかりにくくなっているものもあります。
使用されている香料がきちんと明記されているもので、嗅覚に優れた犬が負担にならない優しい香りのものを選びましょう。
・鉱物油
シャンプーのなかに犬の毛皮を守るために鉱物油が含まれているものもあります。
鉱物油も石油系になるので、犬の毛穴を詰まらせてしまい呼吸の妨げになってしまうリスクが考えられます。犬の皮膚はもともと油分を持っています。
その分泌がうまくできなくなってしまう可能性もあるのです。シャンプーのなかに入っている油分は、スイートアーモンドオイルや、オリーブオイル、アボガドオイルなどの質の高いものを使っているシャンプーを選ぶのがおすすめです。シャンプーあとの被毛もふわふわで触り心地がよく、犬のデリケートな皮膚に負担をかけません。
犬の無添加用のシャンプーについても、明確な基準がないので着色料のみ入っていない、防腐剤のみ入っていない可能性があります。何が無添加なのかを確認して選びましょう。
犬の個別のニーズに合わせたシャンプー
犬のシャンプーを選ぶ時に、特別なニーズに合わせて選ばなくてはいけないこともあります。
一般の犬種向けのシャンプーでもいいのですが、皮膚が繊細で敏感な犬やアレルギーで悩んでいる犬、皮脂の分泌が過剰な犬に適したシャンプーを選ぶようにしましょう。
長毛種向けのシャンプーもありますし、ニーズに合わせて選ぶ注意点を説明します。
・敏感肌向け
ココナッツ由来のアミノ酸を洗浄成分として使っているシャンプーや、じゃがいも、とうもろこし、さとうきびなどの安全な原材料を使用している犬用のシャンプーがあります。
100%天然素材を使用し、年齢を問わずに使えます。リンスなどをせずに美しい毛並みを実現してくれるシャンプーが多く、敏感肌を洗いすぎることなく負荷をかけずにお手入れができるのが特徴です。
・アレルギー向け
アレルギーは、犬の皮膚が薄ピンク色になっていたり、皮膚の薄い部分が刺激に弱くかゆがることがあります。
皮膚がダメージを受けていることもあり、低刺激のアミノ酸を使ったシャンプーを選ぶようにしましょう。
精油が入っていると、なかにはアレルギーで反応してしまうこともあるので、無添加でシンプルな洗浄力の弱いシャンプーがおすすめです。皮脂のバリアを修復するためにも、保湿剤も一緒に使いましょう。
・皮脂の分泌向け
皮膚が脂っぽく、黄色みがかった皮膚をしている場合、皮脂がしっかりと取り切れていない可能性が考えられます。
洗浄力の弱いシャンプーだと肌トラブルの原因になってしまいます。
シャンプーを選ぶ時は「角質溶解作用」の強いものを選び、保湿剤でしっかりと油分を補ってあげるようにしましょう。洗浄力の強いシャンプーだと、皮膚のバリアが傷つく可能性があるので、皮膚の様子を見ながら洗うようにしてください。
・長毛種向け
長毛種は毛が絡まりやすく毛玉ができやすいといわれています。
毛皮が傷みやすいことで、お手入れに悩んでいる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
お散歩で汚れが付着しやすく、絡まった汚れを落とすのが大変になってしまいます。長毛種はトリートメント効果の高いシャンプーを選び、汚れをしっかりと落とし被毛のダメージを防げるシャンプーがおすすめです。
シャンプーの使用方法とアフターケア
シャンプーを選んだあとは、正しい使用方法やアフターケアも忘れずに行いましょう。
シャンプーの使用方法を間違えていると、思うような効果は得られません。
また、敏感な犬の毛皮を守ってあげるためのアフターケアのやり方も押さえておきましょう。
・シャンプー正しい使用方法
シャンプーの使用方法は、以下の手順で行うようにしてください。
1. まず、念入りにブラッシングを行い余分な毛を取り除きます
2. しっかりと濡らして体の表面についた汚れを落とします
3. 手にシャンプーを少量とりまんべんなくなじませます
4. 泡立ちが少なくなったらシャンプーを追加し、しっかりと泡立てます
5. ぬるま湯もしくは、水を使って丁寧にすすぎます
6. 軽く毛皮の水気を切りコンディショナーを塗布します
7. 再度すすぎ、タオルドライ→ドライヤーの順番です
犬のシャンプーは強くこすりすぎないこと、スポンジを使って泡立てるのも最適です。
また敏感肌など薬用のシャンプーを使うときは、症状が重い場所から洗い少し成分を浸透させてから流していきます。
特にお尻周りや内また、口周りなどは汚れがつきやすく雑菌が繁殖することもあり、丁寧に洗いましょう。
・シャンプーあとのアフターケア
シャンプーが終わったあと、犬の保湿も忘れずに行いましょう。
特に肌の調子が安定しない犬や、乾燥肌、アトピーが気になるとき保湿は欠かせません。毛皮全体のケアであれば、シャンプーのあとにお湯で原液を薄め全体にかけコンディショナーとして使えるものもあります。
被毛が多い場所でも使いやすいのはローションタイプですし、クリームや乳液など成分の残留性が高く保護してくれるものもあります。スプレータイプやジェルなどの形状の違いもありますので、飼い主さんが使いやすいと思えるものを選びましょう。
まとめ
犬のシャンプー選びをするときは、まず皮膚や被毛の特徴を知り愛犬に適したものを選ぶようにしていきましょう。
余計な添加物の入っていないシャンプーを選ぶことはもちろん、犬の毛皮の状態に合わせて、敏感肌やアレルギー、皮脂の分泌が多いときなど使いやすいものを選ぶようにしてください。
犬種によっても変わりますし、犬の年齢によって、シャンプーを見直すこともあると思います。安心して使えるものを選ぶことは、犬にとってもストレスの負荷がかかりにくくなります。保湿剤も合わせて使うようにしてください。